タムルアン洞窟への祈り
タイ北部のタムルアン洞窟で、地元サッカーチームの少年12人とコーチ1人が全員無事に見つかったというニュースを見たのが数日前。
- タイの洞窟ということで、凍えるようなことがなかっただろうこと。
- 分岐道の多いタイプの洞窟ではなかったらしいこと。
これらが大きかったのかなと思いつつ、心底よかったなと思いました。
(洞窟内の気温は、その洞窟がある地域の年間平均気温と大体同じです)
ただ、
- 現地が雨季であること
- 観光的な整備がされていない洞窟であること
- 少年たちがいるのが入口から4-5km奥ということ
これらは、これからの救出活動が困難を極めることを物語っているなと感じました。
すごく美しい鍾乳洞のようです。
観光整備がされていない分、幻想度はとても高く、その中でのんびりできたらきっと心穏やかになれるんだろうなと思います。
それでも雨季。
リアルタイム性はあまりないとはいえ、洞内の水量は外で雨が多く降れば増えます。
下りたり上ったりで進んだ洞内で、きた道が水で埋まり戻れなくなったという事態も納得です。
雨季がまだまだ終わらないので、これからもっと水量が増えることも容易に考えられます。
今少年たちがいる場所だって、いつまでも大丈夫とは言えないはずで、だからこそ尚更救出が急がれているんだと思うんです。
そうした中で昨日、とうとう関係者で死者が出てしまいました。
少年たちを救うために動く中でのこと。
ご冥福をお祈り申し上げます。
残されている少年たちだって予断を許さない状態ですし、少年たちを救うために動いている方たちだって危険と隣り合わせです。
私にとっては、鍾乳洞は魅力的なところです。
この少年たちを責める気も、鍾乳洞は危険だから行くななんていう気も、さらさらありません。
でもやっぱり、危険な側面があるんだなと、こういうニュースを見ると改めて痛感します。
いち早くとまでは言わない。
それでも。
洞内の少年たちが無事に救出されますように。
少年たちを救おうと必死に働いている人たちが無事でありますように。
タイから離れた日本ではあるけれど、心から願っています。
一度は忘れ去られた小平鍾乳洞@群馬県みどり市
小平鍾乳洞(おだいらと読みます)
ここは、明治7年に発見され、一般公開していたところでした。
しかし、10年ほど経った頃入口が埋まり、そのまま人々に忘れ去られていたそうです。
その後、古老の言い伝えと、鍾乳洞の存在を裏付ける古文書が見つかり、100年ほどの年月を経て昭和59年に再発見されました。
入口が埋まった理由はわかっていないそうなのですが、この話、なんだかロマンを感じます。
その一方、入口が埋まることで忘れ去られるなんてことあるんだな、とか、当時はすぐ掘り返そうという話にはならなかったんだな、とか、ひねくれたこともちょっと思いました。笑。
鍾乳洞としての規模感は決して大きいものではありませんでした。
大きく発達した鍾乳石が多くある、というところでもありませんでした。
しかし、小さな鍾乳石を間近に見られる喜びを感じられるような鍾乳洞でした。
こんな感じで、もともとあった岩石に、石灰成分が流れて少しずつ鍾乳石が成長しているような、そんな印象でした。
成長の仕方が網目状に、かつカーテン状になっているところとか、写真下の方のぎざぎざした部分とか、個人的に特に興味深いポイントです。
表面全体を石灰成分でコーティング、ではなく網目。
石灰成分を含んだ水が流れて滴るように成長するつらら石・ストロー状ではなくカーテン。
そして、何をどうしたらぎざぎざの形状になるのか。
ぎざぎざがいびつではなくあまりに綺麗なので、もう自然の形状ではなくて、何かが噛み付いてできたんじゃないかって一瞬思っちゃったくらいです。笑。
白のきらきら。
結晶な表面の乱反射のこのきらきら、私大好きで、このきらきらが目の前に広がっているのがとても嬉しかったです。
フローストーン。
洞内は全体的に通常の岩っぽいところが多い印象がありましたが、こんな感じで鍾乳石が(というか石灰成分が)多くある地点がいくつかありました。
このフローストーンの色合い、優しくて和みます。
ストローちゃん。
折れちゃっていたストローも多かったですが、成長を続けているストローちゃんもいました。
小さなカーテン、小さなストローを堪能できる鍾乳洞でした!
まだまだ未発見の洞穴もあるんだろうな、とは思いますが、かつてのここみたいに、忘れ去られてしまっている鍾乳洞もまだあるのかな、なんてことをぼんやりと思いました。
新発見も素敵だけど、再発見も素敵だなぁと感じる今日この頃です。
★ざっくりアクセス★
そこからは歩くとどのくらいなんだろう....
私は車に乗せて連れていってもらいました。
水の音を楽しめる入水鍾乳洞@福島県田村市
あぶくま洞の近くにある入水鍾乳洞。
知名度的にはあぶくま洞の方が高いように思いますが、こちらも国の天然記念物に指定されている素敵な鍾乳洞です。
同じ洞内が入口から奥まで3つのコースに分かれていて、観光コースから本格的なケイビングまで楽しめるというのもいいですね。
本格的なケイビングとか無理〜という人も、気軽なAコースだけ楽しむこともできますからね。
入口はこんなです。
ちょっと見にくいのですが、「うつくしまの音三十景」とあります。
私はこれに気付かずに入洞しました。
中にはちゃんと目立つ看板がありました。
入水という名の通りといいますか、洞内はとても水量が多かったです。
川状に流れているだけでなく、滝みたいになっているところも多くて。
鍾乳洞内の水の音って、ぴちょーんぴちょーん、くらいの印象が強かったのですが、そんな静かなものではなく。
ごーっというかざーっというか、結構な勢いで水が流れ続けておりまして。
一箇所だけ、とかでもなかったですし。
すごい水量だなぁと思いましたし、鍾乳洞ではあまりないような賑やかさにとてもわくわくしておりました。
こちらは地面。
水が石を穿つところ。一体どれだけの年月をかけてきたのだろうと思いを馳せずにはいられなくなります。
とりあえず、Aコースでは白さが目を惹くような鍾乳石には出合いませんでした。
ただ、岩の感じとか狭さとか、冒険心をくすぐる要素は十分。
私が友人と訪れたときは、時間の都合上Aコースだけ楽しんだ感じなのですが。
BコースとCコースに行けなかった心残りはずっとありまして。
いつかCコースまで行きたいなと思っている次第です。
冷たい水にがっつりつかることになるとのことなので、夏がいいな。
★ざっくりアクセス★
JR菅谷駅から車で5分ほど。
洞窟が語る歴史は化石だけではなくて
ラスコーの洞窟壁画はそこそこ有名かと思いますが、
先日、現生人類ではなくてネアンデルタール人が壁画を描いていたのではというニュースがありました。
その壁画が描かれているのが、スペインにある3つの洞窟。
壁画は6万5千年前のもの、ということで、
よくぞ鮮やかに残っていた、と思った次第でございます。
壁画が洞窟入口からどの程度奥まったところにあったのかはわかりませんが、
外気に(ほとんど)触れない分、傷み方というのも緩やかなのだろうと思います。
洞窟って何万、何百万、何千万、何億年という年月をかけて形成されていて。
生物の進化の過程を見守ってきたのかなーなんて思うのと同時に、
何万年も前の人たちの生きた証だったり、文化的な側面だったり、そういったものを腐敗から守って現代に伝えてくれているんだなーなんて改めて思いました。
このニュースもきっと、私が洞窟に関心をもっていなかったら
「ふーん」くらいだったのかなって気がしますが、
洞窟に関心をもっているということが、そこに付随する幅広い事柄に対して興味をもつきっかけになっているんだなということを感じたりもしました。
これ、たとえば鍾乳洞内に描かれているものが、石灰成分の成長(?)によって壁画を隠しているなんてこともあるのかな。
表面剥いたら絵が出てきました、みたいな。
まあでも、表面が濡れるところは、絵を描くには不向きか。笑。
ライトアップも楽しめるあぶくま洞@福島県田村市
あぶくま洞。
およそ8000万年の歳月をかけて現在の姿になっているということで、自然の偉大さをあたらめて実感する鍾乳洞です。
洞内の鍾乳石の種類も結構豊富で、見ごたえもあります。
種類もですけど、サイズも大きくてですね。
うっかり上の方ばかり見ていると首を痛めます。笑。
ただ大きい、というだけなら途中で飽きてしまいそうなものですが、鍾乳洞は細部にわたって楽しめるのもいいなぁと個人的に思っています。
「白磁の滝」と命名されたスポットを眼前に眺めてみたり。
この輝き。たまらぬ。
ごつごつな鍾乳石もそれはそれで美しいと思いますが、表面が比較的できたてのつるつるしている様子も美しいですね。
ごつごつは造形美を感じますが、つるつるは綺麗だなと思うことが多いです。
あぶくま洞は、一般コースを進む中で分岐ルートがあり、プラスで200円かかりますが探検コースに進むことができます(少し進むと一般コースに合流します)
探検コースといっても、気軽に探検気分を味わえるくらいのもので、特別な準備が必要なものではありません。
ただ、一般コースよりは天井が低かったり、足場が少し悪かったりするので、かがんだ状態で先に進んだりします。
私は迷うことなく探検コース。
地面から伸びる小さな石筍たちを精霊に見立てた「地底の精霊」にて。
精霊たちがかわいすぎる....!
こちらは光のあたっている奥。
天井からのびる小さなつらら石たちがかわいすぎる....!
洞内のスケール感に圧倒される分、余計に小さなものがかわいく感じられたのかもしれません。
一般コースでは全体的にライトアップされていて。
ライトの色も画一的なものではなく何種類もあって、同じ鍾乳石でも光の色によって見え方というか印象が変わる、というのも面白いところでした。
あとは結構空間が大きい印象を受けました。
天井が低いところもありましたが、どちらかと広い空間と大きな鍾乳石に圧倒された印象が強く残ってます。
鍾乳石って、基本的にはまっすぐな形状ですけど、この「滝根の斜塔」の傾きすごくないですか?
ストロー状の小さな鍾乳石が曲がっているヘリクタイトというものは何度か見たことがありますが、これだけ大きな鍾乳石でここまで傾いているなんて....!
まさに自然の神秘ってやつですね。
赤っぽい光のあたったリムストーン(棚田状の鍾乳石)
ちょっと宇宙っぽいというか、月とか火星の地表ってこんな感じかなぁと勝手に思ってました。笑。
このあぶくま洞の中で、私が一番綺麗だなと感じたところはコース終盤の「月の世界」でした。
調光システムが導入されているそうで、光の具合が時間とともに変化していくのも綺麗でした。
様々な種類の鍾乳石がこの一箇所で見られるのもまたいいですね。
そして何よりこの白さ。私の好きな驚きの白さ。
たまりません。笑。
★ざっくりアクセス★
JR神俣駅からタクシーで5分ほど。
以前はバスがあったそうなのですが、廃線になってしまったみたいです。
洞穴で見つかった現生人類の化石
先日、イスラエルのミスリヤ洞窟で2002年に見つかった化石が、アフリカ以外で最古の現生人類のものだとわかった、というニュースがありました。
テレビのニュース音声の「洞窟」に反応して、勢い良くテレビを振り返った次第です。
(発見されてから15年以上の年月が調査に費やされたということにはちょっと驚きました。
年代測定器みたいなものでさっと測定できるのかと思っていました....不勉強でした)
このニュースを聞いて、洞穴の懐の深さといいますか、幅の広さといいますか、そんなことを感じていました。
研究対象として、長い年月をかけて形作られている洞穴の地質学的な観点だったり、洞穴という環境下で生息する生き物に対する生物学的な観点だったり、人類が暮らしていた形跡や化石などが発見される史学的な観点だったり。
研究でなくても、外では見られないような絶景だったり、探検心や冒険心を刺激するものだったり。
楽しみ方というか、好奇心の対象というか、そういうものが幅広いなぁと思ったのです。
私自身は、単に探検感にわくわくしていたのが最初のきっかけだったのですが、そこから鐘乳石に興味を持ったり、その洞穴の形成の流れに興味を持ったり、洞穴によって特色や景色が違うのを面白く感じて色々見てみたいと思ったりと、芋づる式に関心が広がっていきました。
芋づる式に広がるっていうのは、それだけ芋がいっぱいあるというか、洞穴の懐の深さなのかなぁと思ったりしたのです。
小さい頃、樹齢何十年・何百年という木を前にして、この木は何十年・何百年も前から人々を見守ってきたのかなあ、なんて思うこともありましたが、洞穴ってそれ以上の長い年月だなぁと改めてしみじみしまして。
人類の進化の歴史以上に長い年月をかけている洞穴もたくさんある訳で。
何やら地球の神秘を感じました。
ニュースひとつで大げさな。
そんなツッコミはもう自分自身でしております。笑。
2018年も洞穴に行きたい
あけましておめでとうございます。
2017年に訪れることができた洞穴は5つでした。
季節に一度は洞穴に行く!という目標だったことを考えると達成です!
東北から九州まで、行ってみたかった洞穴に行けたり、探検コースなどでケイビングを楽しんだり結構充実してたなぁという感じです。
ほんとはもっと頻繁に行きたいですけど、生憎のお財布事情なんですよねぇ....笑
2018年は、お財布事情がもっと厳しくなりそうなので、もしかしたら季節に一度の頻度ですら難しいかもなぁなんて思っていますが、せめて日本鍾乳洞九選のうちひとつは行きたいなと思っています。
↓日本鍾乳洞九選とは↓
日本観光鍾乳洞協会に加盟している鍾乳洞、なんですって。
このうち、私が訪れたことがある鍾乳洞が以下の6つ。
・福島県の「あぶくま洞」
・東京都の「日原鍾乳洞」
・高知県の「龍河洞」
・長崎県の「七ツ釜鍾乳洞」
なので、残り3つ!
鹿児島県の昇竜洞は、洞窟の聖地とも呼ばれる沖之永良部島にあって、この島には他にがっつりケイビングを楽しめる洞穴が多々ありまして。
それらとあわせてがっつり行きたいところです!(だから今年は少し厳しいかな....笑)
熊本か岐阜かどちらも行くか。笑。
ここ以外にも行ってみたいところはあるし、海外の洞穴にも興味あるし、なかなか行き先は決まりませんが、2018年も洞穴を存分に楽しみたいなと思っています。